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文書作成日:2025/07/03
公益通報者保護法改正、通報受付体制の見直しを

 公益通報者保護法は、事業者の法令違反行為などに気付いた労働者や関係者が、内部や行政などに通報した際に、不利益な取扱いを受けないよう保護することを目的とした法律です。医療・福祉業界では、医療過誤や虐待等の隠蔽、各種ハラスメント、不正請求等の通報が想定されます。

 同法は2022年の改正により、事業者内の通報窓口の設置、通報者の不利益な取扱いの防止等の体制整備が義務化されました。しかし、改正後も

  • 事業者が通報体制の整備義務を履行せず、内部指摘に十分対応できていない事案がある
  • 上司等への情報共有で不都合なしと考え、義務履行への意識が低い事業者が一定程度存在する
  • 内部通報窓口の認知率の低さや通報件数の少なさが、内部通報制度の実効性を阻害している

という状況であったことから、2025年3月に改正法案が閣議決定され、6月4日に参議院で可決・成立、11日に公布されました。

 今回の改正では、事業者の対応体制の実効性を高めるとともに、通報者の保護対象が大きく広がります。医療機関や福祉施設においても、通報の受付・対応に関する体制の確認と見直しが求められる内容となっています。

主な改正ポイント

  1. 体制整備の実効性強化(大規模法人対象)
    • 従事者の指定義務違反に対する命令権と刑事罰(30万円以下の罰金)を新設
    • 立入検査権限の導入
    • 労働者に対する体制の周知義務を明示

    (※)常時300人を超える労働者を使用する事業者が対象です。

  2. 通報者の保護対象拡大
    • フリーランス(業務委託関係者)を新たに通報者として保護対象に追加(業務委託契約が終了して1年以内の者も含む)
    • 通報を理由とする契約解除等の不利益な取扱いを禁止
  3. 通報を妨げる行為の禁止
    • 労働者等に対し、正当な理由なく、通報しない旨の合意を求める等、公益通報を妨げる行為の禁止
    • これに違反してなされた合意等は無効
    • 正当な理由なく、通報者を特定することを目的とする行為の禁止
  4. 公益通報を理由とする不利益取扱いの抑止と救済強化
    • 通報後1年以内に解雇・懲戒された場合、通報を理由とした処分と推定
    • 上記の解雇・懲戒をした者に対し直罰を新設(6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
    • 法人に対する罰金は最大3,000万円

 本改正は、公布の日から1年6ヶ月以内に施行される予定です。詳細な施行日は政令により定められます。

 改正の詳細は、消費者庁サイトでご確認ください。

[参考]
 消費者庁
公益通報者保護法
公益通報者保護法 令和7年改正概要
公益通報者保護制度検討会 報告書

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
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