頻発する
未払い残業問題
メンタルヘルス問題
休職者への対応
今日、労働問題は後を絶ちません。
労務監査はそうした労働問題の未然防止のために重要です。
顧客志向経営とはよく言われることですが、
はたして従業員は職場にどんな思いを持っているでしょうか。
労務問題が適正に運営されてこそ、
従業員のモチベーションも上がり、
会社の発展につながってゆくのではないでしょうか。
また、近年、公共事業等の受注に関連して、
単に入札方式で価格だけで業者設定をするのではなく、
当該企業の労務コンプライアンスを問う動きが出ており注目されています。
人事労務制度が適正に行われているかどうかが広く問われる時代になったと言えるでしょう。
2 労務監査対象事項と監査のポイント
労務監査対象事項と監査のポイントは以下のとおりです。
(注)労務監査に対する書籍として下の参考文献が上げられます。 |
労務監査のチェックリスト
監査対象事項 | 監査のポイント |
企業(組織) 経営の諸基準 |
・経営理念 行動指針(行動規範) ・社風 ・組織職制と組織権限 |
雇用管理 | ・労働契約(労働条件通知書)の整備状況 ・雇用管理上の区分(正社員、派遣社員、契約社員、請負、パート、 アルバイト等)の基準 ・労働者名簿の整備状況(様式と記載事項) ・高齢者雇用、障害者雇用の実態(雇用率等) ・最低賃金 |
就業規則 その他諸規程 労働契約 |
・雇用区分ごとの就業規則の整備状況 ・就業規則その他諸規程等について、労働基準法、労働契約法、 労働安全衛生法、男女雇用機会均等法その他労働関係諸法令から見た チェック ・周知方法等の遵守性、有効性 ・労働者代表と選出方法の妥当性 ・就業規則とその他諸規程等の改定状況 (現状、あるいは法の改正状況に合わせて改定されているか?) ・労働条件不利益変更事例はないか |
労使協定 労働協約 |
・労働基準法等に定められた労使協定(労働組合がある場合は 労働協約)の整備状況(期間、更新、届出等) たとえば、36協定 ・協約や協定等の従業員への周知状況 ・労働組合との労働協約は適法に機能しているか |
労働保険 社会保険 |
・雇用保険適用・非適用の区分の適法性 ・社会保険適用・非適用の区分の適法性 ・社会保険算定事務・労働保険更新事務の正確性 ・保険事務の電子申請の状況 |
労働時間制度 勤務と休日 年次有給休暇 制度 その他の休暇 制度 |
・業態に見合った労働時間制度の制定状況 |
人事制度 | ・役職制度や職能制度等の人事等級制度の内容 ・上記の制度の運用上の諸問題 ・定年制と高齢者雇用制度の諸問題 (高齢者雇用安定法の運用状況、規定化等) ・役職制度は会社の実態にふさわしいか ・人事考課制度の有無と機能状況 (人事考課のシステム、運用状況) ・賞罰に関する委員会の運営状況 ・解雇事例と解雇時の取り扱い |
教育訓練 | ・階層別訓練の実施状況 新入社員教育 中堅社員教育 管理職教育 ライフプラン ・職能別教育の実施状況 職種別に教育 安全衛生教育 防災教育等 |
賃金制度 | ・賃金制度についての従業員への説明、周知状況 ・同業・同規模の他社に比べての賃金水準の妥当性 ・勤怠管理と労働時間管理の運営状況 ・昇給制度の内容と実施状況 ・人事考課と賃金(昇給・賞与等) ・人事記録、賃金計算、その他の諸記録等のIT化状況 ・賃金計算の基準の整備状況 |
男女雇用均等法 関係 |
・人事制度と男女区分の実態 ・賃金制度と男女区分の実態 ・その他男女雇用機会均等区分の遵法性 ・セクハラ問題発生の有無 セクハラ教育 苦情処理体制 |
安全衛生管理 | ・安全衛生に関する諸規程の整備状況 ・安全衛生管理者等の選任状況 ・安全衛生委員会等の実施状況 ・労働災害の発生状況(度数率・強度率等) ・労働時間と健康管理に関する管理状況 ・労災予防活動の状況 ・安全衛生訓練の実施状況(議事録) ・防災活動の実施状況 |
個別労使関係 | ・労基署の実施事項とその後のフォロー状況 ・個別労働紛争発生の状況 |
個人情報保護法 関係 |
・個人情報保護に関する企業のメッセージの存否 ・従業員の周知 就業規則への記載 懲戒条項 ・管理組織体制 |
機密防衛対策 | ・企業秘密の管理体制 ・機密文書管理規程 懲戒条項 ・退職時の機密保持義務規程 |
下請会社・関連会社への出向 | ・下請会社・関連会社への従業員の出向状況 ・親会社からの出向状況 |
総合評価 | 全体状況についての監査担当者としての評価とコメント @コンプライアンス(適法性) A労務管理諸制度または管理実態の妥当性・効率性等 Bその他アドバイス事項 |
3 労務監査の進め方
労務監査の進め方につきましては、会社のおかれている状況を踏まえ、
個別にご相談させていただきます。
労務監査は
@会社における課題のヒアリング、情報の擦り合わせ
Aアンケートの実施
B就業規則、諸規程、その他労務関係書類の確認、諸手続き関係の確認
C具体的、個別問題のヒアリング
D監査好評
といった形で進めさせていただきます。
企業の強みの確認、課題の新たな気付き、今後の人事労務の方向性の認識といった視点から
労務監査を考えられてはいかがかと存じます。
まずは、福岡労務経営事務所へお気軽にご相談ください。
(参考文献)
「人事労務監査実践マニュアル」(高橋宏 日本法令)
「経営労務監査の実務」(社会保険労務士総合研究機構【監修】 中央経済社)