1 はじめに
突然、労基署の立入検査の連絡があった。
あるいは、予告なしに、突然、労働基準監督署がやってきた。
日頃から、労基署の立入検査に備えて対応している会社は少ないといえるでしょう。
突然のことで今後どう対応してゆけばいいのかわからなかったり、
提出を求められている書類も不備だらけだったり、
あるいは労基署への届け出がなされていないものがあったりと、
困惑される企業も少なくありません。
お気軽に福岡労務経営事務所にご相談いだだければ、
迅速、的確、最適な方法で支援いたします。2 臨検調査について
労基署の調査は臨検調査と言います。
臨検調査には次の4種類があります。
@ 定期監督
A 申告監督
B 災害時監督
C 再監督3 労働者の「申告」とはどのような行為か
「未払い賃金」「サービス残業」「不当解雇」などについて、
労働者が不当な扱いをされたとして、労働基準監督署に、
「なんとしても、残業代を会社に払わせてほしい。」などとはたらきかける行為を言います。
労働基準監督署が相談内容を吟味し、行政指導が必要であると判断した場合は、
その会社に「申告監督」が入ります。
ただし、通常、申告した労働者の名前は伏せた上で、「定期監督」を装って調査が行われます。4 監督署の来社パターン
労働基準監督署の来社パターンは、おもに次のように分かれます。
@突然、予告なしに監督官が会社に訪れる場合
A担当監督官の氏名と、調査の日時、そろえておくべき必要書類等を
記載した書面がFAXで送られてくる場合
B電話連絡により、いきなり「〇月〇日に調査に入らせていただきたいと思います。」
と言ってくる場合
このほかに、必要書類を揃えて出頭を求めるケースがあります。
初動の形で、労基署の取り組みに対する力の入れ方をある程度推測することができます。5 臨検で求められる法定帳簿
臨検で求められる法定帳簿には通常、次のようなものがあります。
@労働者名簿
A労働条件通知書(雇入通知書)
B賃金台帳
C出勤簿、タイムカード、時間外労働申請書等の労働時間記録
D就業規則(就業規則がある場合)
E時間外労働・休日労働に関する協定届(当該協定届がある場合)
F1年単位の変形労働時間制に関する協定届(同上)
G健康診断個人票
Hその他(例:過重労働対策の管理簿、医師による面接指導の記録簿等)6 是正勧告について
事業所の労働基準法の法違反に対して行われる行政指導のことを「是正勧告」と言います。
事業所が労働基準法等に違反する行為を行った場合に、労働基準監督署が交付するのが
「是正勧告書」です。
また、法律違反にはあたらないものの、改善する必要があると認められた時に交付されるのが、
「指導票」です。
(是正勧告事例)
大手ハウスメーカーは2年間で32億円の残業料未払いがあると発表した。
大阪府天満労働基準監督署の是正勧告に従ったもの。
(2011年4月 一連の新聞報道あり)7 「是正(改善)報告書」の提出について
是正勧告を受けた会社は、指定期日までに指摘事項を改善し、
「是正(改善)報告書」を労働基準監督官に提出しなければなりません。8 是正勧告に従わなかったとき
是正勧告に従わなかったときは、
司法処分、とくに「書類送検」の処分を受けるということもあります。
書類送検されると、新聞に掲載されることもあるため、
取引先に知られて取引に影響が及ぶことがあります。
建設業では役所から指名停止になる恐れもあり、
また、運輸業では運輸局に通報されて、営業停止などの処分を受けることもあります。
(書類送検事例)
大阪淀川労働基準監督署はスーパーTを長時間労働による過労死(残業月147時間)、
残業代未払いで大阪地検に書類送検した。
(2009年12月 一連の新聞報道による)
大阪労働局は大手G寿司チェーンの本社を捜索した結果を踏まえ、書類送検した。
残業代未払い額が5億円にのぼるとみられる。
(2012年5月 一連の報道による)9 正しい対応の仕方
立入調査の予告から実際の臨検日まで、ある程度の期間がある場合、
その間に対応すべきことは対応しておくことが賢明です。
ご相談いただければ、現状をヒアリングさせていただき、具体的な対応策についての
ご支援をさせていただきます。
たとえば、未払い残業問題の是正勧告を受ければ、多額の未払い賃金が発生する可能性が
あるなど、会社経営に大きな影響を及ぼす事態も想定されます。
このような場合、適切な対応を急ぐ必要があり、お気軽にご相談いただければと存じます。
福岡労務経営事務所では、経営者様と一緒になって的確に対応を進めてまいります。
お気軽にご相談いただければ幸いです。
(参考文献)
「労基署の調査のやり方と対応がわかる本」(土屋留美 日本実業出版社)
「監督官がきた!労基署 調査・指導・是正勧告 対応の現場」(吉本 俊樹 日本法令)
「労働トラブルから守る「就業規則」の作成・見直し・運用Q&A(木全美千男他 セルバ出版)