気になる判例
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2025年4月19日(土)
1000円の着服で退職金1200万円が不支給になった京都市バス運転手(最高裁判決)

【判決紹介】「たった1000円」でも信頼失墜――退職金1200万円の不支給は妥当(最高裁判決)
2025年4月17日、最高裁判所は、京都市営バスの元運転手による退職金不支給処分について、「妥当」とする判断を示しました。
この裁判は、運賃1000円を着服したとして懲戒免職となった元運転手の男性が、「全額退職金(約1200万円)の不支給は重すぎる」として、処分の取り消しを求めたものです。

■ 最高裁の判断
最高裁第1小法廷(堺徹裁判長)は、「公務中に公金を着服したという重大な非違行為で、市バス事業への信頼を大きく損なった」として、市の全額不支給処分を支持しました。
退職金の性格や、被害額が1000円と少額で弁償済みであることも踏まえつつも、「市の裁量権の範囲を逸脱するものではない」と判断。
全員一致で男性の訴えを退けました。

■ 経緯
元運転手は1993年から勤務
2022年2月、乗客5人分の運賃1150円のうち1000円を私物のカバンに入れ着服
後日、市がドライブレコーダーで点検中に発覚
京都市は懲戒免職処分とし、退職金も全額不支給に

■ 裁判の流れ
【一審】
京都地裁(2023年7月):市の処分は不合理とは言えない(市側勝訴)

【二審】
大阪高裁(2024年2月):処分は過酷すぎるとして取り消し(男性勝訴)

【最高裁】
2025年4月17日:市の処分を妥当とし、男性の敗訴が確定


【ポイント解説】
この判決は、「たとえ少額でも公金の着服は重大な非違行為」であり、公務員や公共交通事業に携わる職員の信用が極めて重要であることを示すものです。また、退職金の支給は自動的に得られる権利ではなく、服務規律違反がある場合には、全額不支給となることもあるという厳格な姿勢が確認されました。
 

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